抄録
層状構造を有する板状チタン酸(H1.07Li0.27O4)にn-プロピルアミン水溶液を加えてチタン酸ナノシートゾル溶液を調製した.作用電極および対向電極として多結晶Pt基板を,また参照電極として飽和カロメル電極を用いて,定電位の電気泳動法によりチタン酸ナノシートを成膜した.これを空気中400℃で熱処理した後,水酸化バリウム水溶液中で150℃から250℃の水熱処理を施すことにより,BaTiO3に変換した.生成した薄膜の形態および配向性と処理条件の関係を調べた結果,+1.0~1.5 V vs.SCEという比較的低い電位の電気泳動により良好な形態のチタン酸薄膜を成膜した.これを200℃前後で水熱処理することにより,ほぼ完全に[110]配向したBaTiO3薄膜を得た.