抄録
無機紫外線遮蔽剤であるセリアは、可視光領域における透明性に優れ、光触媒活性が低いという特長を有している。また、体質顔料として用いるには、肌上での感触に優れた長径数ミクロンの板状の形態が求められる。当研究者らは、層状構造を有する金属リン酸塩に着目し、水熱法によって板状含水リン酸セリウムを合成した。しかし得られた物質はセリウム四価の化合物であり、酸化触媒能が比較的高いために、有機物の酸化を促進してしまう。そこで、熱処理により含水リン酸セリウムの相変化について検討を行い、板状の形態を維持したまま酸化触媒能の低い物質を合成した。