抄録
金属チタン表面を熱酸化して得られた酸化チタン層(熱酸化チタン層)は,小久保の擬似体液(SBF)中では通常骨類似アパタイト層を形成しないが,二つの熱酸化チタン基板をある距離(<1 mm)だけ離して対面配置させる(空間デザイン)と,SBF中でアパタイト層を形成する。これを空間デザインによって誘起されるアパタイト析出と呼ぶ。本研究では,ステンレス基板上に自己組織化単分子膜を作製することによって正や負に帯電した基板表面を作製し,基板の帯電状態の組み合わせや,隙間幅を変化させ, SBF中でのアパタイト析出の有無及び形成範囲を観察した。この結果から,空間デザインを施した基板の帯電状態とアパタイト析出の関係を考察した。