抄録
材料表面の粗さは初期の細胞接着性および細胞増殖に影響することが知られている。金属チタンは強靱性,耐腐食性,優れた細胞適合性を持つことから,歯科や整形外科などの広い分野でインプラント材料として用いられている。本研究では,鏡面研磨した金属チタン基板に600℃で1hから12hまで熱処理を施すことで,表面に様々なナノスケールの粗さを有する酸化チタン層を作成し,表面粗さと骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の細胞増殖性の関係を調査した。細胞増殖性は6h熱処理を施した基板上で顕著に増加した。このことから,ナノスケールの表面粗さが細胞増殖性に強く影響していることが示唆された。