抄録
LaAlO3単結晶を用いて高周波誘電特性の起源について考察した。単結晶を用いることで粒界、応力、欠陥などが寄与している外的要因を排除することができる。マイクロ波帯で測定した誘電損失は温度とともに減少するが、175、220Kの温度で2つの損失ピークを観測した。デバイの関係式からこのピークは局所的な配向分極が原因であると推測された。配向分極の寄与を取り除いた誘電損失はフォノンの音響モードから光学モードの遷移によるものであると考えられた。一方、誘電率も温度の減少とともに低下したが、赤外反射率の観察から、これは格子振動が起源であると考えられた。