抄録
課電により劣化した非線形性が室温放置で回復することが報告されている。これは課電により移動したO2-イオンあるいは格子間Zn2+イオンが濃度勾配により元の位置に戻るため障壁の歪みが解消されるためと考えられている。本研究ではSb添加ZnOバリスタで粒界に析出したスピネル粒子の存在と課電中に移動すると考えられるイオンとの関係を調べた。アニール未処理でSb2O30.3mol%以上の試料では回復現象が見られなかった。一方,アニール処理を施すとSb2O30.04mol%以上で回復現象が見られず,回復現象の起こる添加量が微量側へシフトした。以上の結果より,アニールすることで粒界にSbを主成分とするスピネル粒子が形成され,それに伴ってO2-イオンあるいは格子間Zn2+イオンの移動が妨げられたと考えられる。