抄録
B2O3とSiO2を含むホウケイ酸ガラスの構造に関しては、異なる測定手段により異なるモデルが提案されている。筆者らの研究グループでは、11Bおよび29Si MAS NMRにより見積られる非架橋酸素(NBO)量が一致しないことを見出し、この原因としてSiO4ユニットにBO4ユニットが配位することにより、NBOが配位したSiと同程度の29Si NMR化学シフトを示す可能性を指摘した1)。そこで本研究では、SiO4ユニットにBOnユニットが配位することによる29Si NMR化学シフトの変化について、分子軌道計算に基づいて考察した。