抄録
ガラスの機械的性質は組成による制御がある程度可能であるが、微量成分の影響に関しては未だに十分に議論されていない。我々は、アルカリホウケイ酸塩系ガラスの機械加工のし易さが、Co酸化物の微量添加によって変化する兆候を確認した。そこで本研究では、実用ケイ酸塩系ガラスであるソーダ石灰ガラスの機械的性質に及ぼすCo微量添加の影響を調査した。基本組成が30Na2O-10CaO-60SiO2 (mol%)であるソーダ石灰ガラスを通常の溶融法により作製し、Co添加の有無による機械的な研磨速度の変化を調査した結果、Co3O4を外割りで0.80 (mol%)添加したガラスの研磨速度が、無添加ガラスよりも速くなることがわかった。