抄録
近年の情報技術の発展により表示デバイスの多様化が進み、高い特性を持つ蛍光体が求められている。本研究では、赤色高輝度発光が知られているCaTiO3: Al, Pr結晶を含むケイ酸塩系結晶化ガラスの開発を目的とし、Pr添加量と熱処理条件が析出結晶相および蛍光特性に及ぼす影響を調査した。
ガラス組成は42CaO-29TiO2-29SiO2(mol%)として外割りでAl2O3を1.5~5mol%、Prを0.05~0.4mol%添加した。溶融急冷法でガラスを作製し、1000oC及び1100oCで熱処理を施すことでCaTiO3等の結晶析出が認められ、高温の熱処理でCaTiO3の析出量が増加した。Pr添加量が少ないほど高い蛍光強度を示したことから、濃度消光が確認された。組成と熱処理条件によりCaTiO3の析出量とPr置換量を最適化することで、強い赤色蛍光を示す結晶化ガラスを作製できることが明らかになった。