抄録
BaTiO3, Bax,Sr1-xTiO3, BaZrxTi1-xO3のそれぞれについてkHzからTHzまでの広帯域に及ぶ誘電分散スペクトルを評価し、相転移温度近傍での分極構造を詳細に調査した。得られた誘電分散スペクトルから切り分けられた双極子分極とイオン分極由来の誘電率をそれぞれ温度に対してプロットした結果、BTにおいてはイオン分極由来の誘電率が極大となる温度(Tionic max)で双極子分極由来の誘電率も極大となり、それより低温でほぼ一定の値となったが、BSTと BZTにおいてはTionic maxで双極子分極由来の誘電率は極大とならず、温度の低下とともにさらに増大した。この現象を双極子分極の機構の違いから説明した。