抄録
あるサイズのメソ孔を有する多孔体は、毛細管凝縮による水蒸気吸放出特性を有するために、壁材に用いることで室内空間の湿度制御が期待できる。毛細管凝縮を利用し、40-90 %の湿度範囲で制御するのに必要な細孔直径は、ケルビン式より算出すると3-20 nmとなる。これまでに、粘土鉱物であるカオリナイトやカオリナイトの加熱脱水により生成するメタカオリナイトを用いて水熱処理により、3-20 nmのブロードな細孔径分布を有する多孔体の作製を報告した。本研究では、粘土鉱物より作製したメソ多孔体の水蒸気吸着特性について検討した。Langmuir式より算出される水蒸気とサンプルの結合エネルギーに関連する定数や水蒸気の吸着サイトの数が、メソ多孔体の水蒸気吸着量に影響を及ぼすことが示唆された。