抄録
我々はこれまで、骨類似のナノ構造と化学組成を持った水酸アパタイト/コラーゲンナノ複合体(以下HAp/Col)を合成し、これが骨リモデリングプロセスに取り込まれて自家骨に置換することなどを明らかにしてきた。本研究では、波板状に成形したHAp/Col膜の片面にペースト状のHAp/Colを充填した後に巻き上げることで、連通性を維持したまま気孔率を下げた多孔体を作成し、イヌ脛骨離断骨欠損モデルにより検討した。脛骨レントゲン観察の結果、埋入四週間後においては、気孔が半分に減ったにもかかわらず十分な骨新生が確認された。また、材料の変形も前回のものに比べ小さく、より安定した骨再生場を提供し得ると考えられた。