抄録
動物骨の高度利用と機能設計を目的として、生体骨粉砕処理装置を用いた動物骨粉砕顆粒を作製し、完全脱灰骨顆粒の骨誘導性を検討した。12000rpm、1minで高速回転粉砕したウシ大腿骨顆粒では、SUS420J2容器はZrO2容器に比べ粉砕効率が高く金属摩耗粉の混入は極めて微量であった。SUS420J2容器を用いた生体骨粉砕処理装置は、動物骨の種類と部位に関係なく、表面有機質を除去し充填サイズと量を選定する操作により、短時間の高速粉砕が可能であった。ウシとブタ骨の粉砕、完全脱灰顆粒をヌ-ドマウスの背部皮下組織内に埋入した標本では、材料の感染や排除はみられず、軟骨・骨誘導が確認された。これらの脱灰骨顆粒は骨再生医療に有効な吸収性・骨誘導性材料であることが示唆された。