抄録
(Bi0.5K0.5)TiO3-(Bi0.5Na0.5)TiO3 [xBKT-(1-x)BNT] 固溶体は,構造相境界(MPB)を形成するx=0.2近傍で良好な圧電特性を示すことがセラミックスで報告され、PZTに代わる非鉛圧電材料として期待されている.
本研究では,BKT-BNT単結晶をフラックス法により育成し,単結晶の強誘電特性評価を行った.
育成条件の最適化による溶融温度の低温化により,MPB組成を含む幅広い組成の単結晶を得ることに成功した.BKT-BNT単結晶(x=0.5)の残留分極値は39μC/cm2,抗電界は23kV/cmであった(E // [100]cubic).低温での育成により蒸気圧の高いBiおよびKの揮発が抑制され,同時に酸素空孔の生成も抑制されたため,高品質BKT-BNT結晶が得られたと考えられる.