抄録
Ti基金属ガラスは、従来のチタン系金属合金と比較して高強度、低ヤング率、高弾性限界など、優れた機械的特性を持つことから、人工骨や人工関節、歯科用インプラントなどの生体材料としての応用が期待されている。しかしながら、金属ガラスは化学的に高い安定性を有するため、生体内において生体骨との接合が困難となる。そのため、生体内において骨の主成分である骨類似アパタイトを誘導するため、金属ガラス表面に生体活性を付与することが必要とされている。従来の表面処理方法であるCVDやスパッタ法、プラズマスプレー法を用いて生体活性セラミックスを作製する方法では、高温や真空処理を要するため、その処理過程においてクラックや金属ガラスの結晶化による機械的特性の損失が生じるなどの問題点があった。本研究では、水熱電気化学処理を用いて低温条件下において表面に生体活性セラミックス層を作製することで、金属ガラスに生体活性を付与することに成功した。