抄録
これまでに演者らが開発した生分解性高分子/リン酸カルシウム複合ナノ粒子の安全性評価として皮膚刺激性試験を実施した。界面活性剤を用いないエマルション法で合成された生分解性高分子/リン酸カルシウム複合ナノ粒子は、生体内で安全に分解・代謝する材料のみで構成されているため、薬物を患部に送達し効率よく作用させる薬物送達システム(DDS)用担体として有望である。この複合ナノ粒子の安全性を確認するために、ヒト3次元培養表皮モデルを用いて実験を行った。培養表皮モデル上にナノ粒子を暴露し、一定期間培養した後の生細胞率を算出したところ、注射用水と同様な生細胞率を有することが示され、表皮に対する刺激性は認められなかった。