抄録
チタンやチタン合金をNaOH水溶液中で反応させることにより、それらの表面にチタン酸ナトリウム薄膜が形成される。この薄膜は優れた骨伝導性を有するために、人工股関節用材料への応用が検討されている。我々は抗菌性インプラント開発において、チタン酸ナトリウムのイオン交換能に着目し、チタン酸ナトリウム中のナトリウムイオンを銀イオンに交換するために、酢酸銀水溶液を用いてチタン酸ナトリウム薄膜の銀イオン交換処理を行ったところ、銀-チタン酸銀ナノ複合体薄膜が生成することを見出し、さらに、この薄膜がMRSAに対して高い抗菌性を示すことを明らかにしてきた。本研究では、薄膜の構造評価とともにアパタイト形成能について評価した。