抄録
Anatase型のTiO2ナノ粒子水分散液を用い、その表面をフェニルホスホン酸(PPA)によって改質することで、透明で高屈折率を有するポリマーナノコンポジットを作製した。分散媒を交換せず、水分散液に直接PPAを加えると直ちに白濁したが、分散媒をDMFに交換した後にPPAを加えたところ白濁しなかった。また、ナノコンポジットのFT-IRスペクトルにおいて、1220 cm-1付近のν(P=O)の吸収帯が観測されなかった。このことは、PPAのP=O基がTiO2表面と何らかの相互作用をしていることを示唆している。よって、観察された分散液の透明度の保持は、TiO2ナノ粒子のDMF中での分散性がPPA修飾に伴う表面改質によって向上したと考えられる。合成したナノコンポジットはTiO2導入量15mass%までは透明であったが、それ以上になると透明度が徐々に低下した。