抄録
化石燃料の枯渇が懸念されている現在、その代替エネルギーとして水素が注目されている。燃やしてもCO2を発生しない水素は地球規模で進んでいる環境問題に対する解決策の一つであると考えられている。水から水素を取り出す手段の一つとして光触媒による水の分解反応がある。光エネルギーを利用して水を水素と酸素とに分解するのが水分解光触媒反応である。
Y2Ti2O7はパイロクロア構造を有する複合酸化物として初めて水分解機能が報告された物質である。本研究では有機溶媒を多量に必要とする錯体重合法に変わり、水溶液の錯体ゲル法によりY2Ti2O7を合成し、その合成過程を検討し、より高い光触媒活性を示すY2Ti2O7の合成を目的とした。