抄録
窒化アルミニウムは、6.2eVのワイドバンドギャップを有していることから、紫外、可視、近赤外領域において無色透明であり、透光性セラミックスとして期待されている。本研究では、Ca3Al2O6の添加によって形成されると考えられる格子欠陥が焼結過程においてどのように変化するかを調査するため、焼成における保持時間を変化させて焼結体を作製し、フォトルミネッセンス測定を行った。1880℃、保持時間≦10hの試料から発光は確認されなかった。一方、保持時間30hの試料からは580nmの発光が確認された。保持時間≧10 hで焼結助剤はそのほとんどが排出されていた。したがって、Ca3Al2O6が不純物として欠陥を形成したのではなく、長時間の焼成によって窒素空孔や格子間アルミニウムなどの真性欠陥が形成したものと考えられる。