抄録
ビスマス層状構造強誘電体(BLSF)の1つであるCaBi2Ta2O9 (CBT)は、キュリー点TCが920℃と高いことから高温用センサー材料の有力な候補と考えられる。しかし、分極処理が困難なためCBTセラミックスの圧電特性および圧電温度特性に関する報告はほとんどない。そこで、今回我々は高温(280ºC)のシリコーンオイル中で分極処理を施したCBTセラミックスを用いて圧電特性および圧電温度特性の評価を行った。室温での圧電特性は、最大位相角θmax = 86.1°、電気機械結合係数k33 = 0.085、圧電出力定数g33 = 8.4×10-3V∙m/Nを示した。デポール挙動を評価するため、890ºCで1 h保持した後、室温での圧電特性を測定した。その結果、圧電特性はほとんど失われず、θmax = 80.8º、k33 = 0.082、g33 = 8.2×10-3 V∙m/Nを維持することがわかった。圧電温度特性の評価の結果、θmaxおよびk33は温度上昇に伴い減少する傾向を示したが、400ºC付近まで大幅な減少は見られず、400ºCでθmax = 79.0º、k33 = 0.080と室温と同程度値を示した。