抄録
保磁力を増大させる目的で、NeFeB系希土類薄膜磁石のDy置換効果を調べた。薄膜はRFスパッタ法を用いてアモルファス薄膜を蒸着し、その後、赤外線熱処理で2-14相を結晶化させた。成膜時にターゲット上にDyチップを置いてスパッタして、Dy置換NdFeB磁石の作製を試みたところ、基板温度470℃、熱処理温度650℃の条件で、膜に垂直方向の磁気異方性を示しながら、保磁力が7 KOe程度の膜を作製できた。Dy置換しない膜に比べて保磁力が2倍程度増大した。EDXの分析から、この膜にはモル比としてNd:Dy=1 : 0.3 程度の組成になっており、保磁力の増大はDy置換による異方性磁界の増大効果と考えられる。