抄録
RbSr2Ta3O10をNiCl2とイオン交換させることによって、新規S = 1 の二次元磁性体(NiCl)Sr2Ta3O10を合成した。Niは同一面内にある稜共有したハロゲン原子4つの他に、上下の(TaO6の)酸素2つによって囲まれている。室温の放射光粉末X線回折プロファイルをRietveld構造解析したところ、Ni原子は特殊位置からより一般位置へ確率分布していることがわかった。(NiCl)Sr2Ta3O10はその二次元構造を反映して、大きな負のワイス温度(-125K)をもつにも関わらず磁気秩序は20Kまで生じない