抄録
オリビン型LiFePO4はリチウムイオン二次電池の正極活物質として、安価かつ熱安定性の観点から注目されている材料である。一般的には固相反応や水熱法により合成されるが、最近、我々はガラスを前駆体とした結晶化による正極活物質の合成手法を見出した。これまでの研究で結晶構成成分であるLi2O-Fe(II)O-P2O5に5mol%程度Nb2O5を添加し、還元雰囲気中で溶融する事により前駆体ガラスを作製した。前駆体ガラスにおける鉄(II)の割合は82-87%であり、還元後のガラスを不活性雰囲気下、結晶化温度付近で熱処理を行うことでLiFePO4が得られた。本研究ではFe(III)2O3を出発原料とし、Li2O-Fe(III)2O3-P2O5三成分系ガラスの気溶融下で作製したガラスを還元熱処理する事でLiFePO4が得られたので報告する。