抄録
一価金属イオン(Li+,Na+,K+イオン)固溶β型リン酸三カルシウムの擬似体液(SBF)中における反応挙動をそれらの無機化学的反応と生体吸収性を検討するために調査した.骨類似アパタイトはすべての試験試料表面上に観察されたが,一価金属イオン固溶β型リン酸三カルシウム上での骨類似アパタイトの生成開始日数や生成量は,金属イオン無添加に比べて早くかつ多かった.試験試料の溶解性試験の結果は,SBF中における一価金属イオン固溶β型リン酸三カルシウムの溶解挙動が,上記の生成開始日数や生成量の違いに起因していることを示唆した.