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必須アミノ酸のうち、グリシンを除いては光学異性体であるL体とD体が存在する。両者は同様の物理的性質を示す一方で、生命ではL体のみが用いられている。最近我々は、氷天体内部での化学進化の可能性を探る目的で、アミノ酸の圧力誘起オリゴマー化を研究しており、25℃、5-11 GPaといった温度圧力条件下でアラニンのオリゴマー化が報告されている。また、室温下ではアミノ酸のラセミ化が進行しにくいと考えられる。本研究の目的は、室温下での圧力誘起オリゴマー化において、光学選択性が生じるか明らかにすることである。二量体のL-アラニル-L-アラニンにラセミ混合物のアラニンを室温高圧下で付加したところ、D体がより多く付加するという結果が得られた。