抄録
本研究では,歯や骨の石灰化促進作用を有するバナジウムの一種であるバナジン酸イオンをリン酸サイトに固溶したβ型リン酸三カルシウム(β-TCP)を作製・評価し,さらにその焼結体を作製して機械的特性の評価も行った.XRDおよび格子定数測定結果は,添加したバナジン酸イオンはその添加量が2.5mol%までβ-TCP結晶構造中に置換固溶することを示唆した.また,作製した焼結体の曲げ強度は,β-TCP結晶構造中にバナジン酸イオンを固溶させることにより焼結性が向上して気孔率が減少したため,バナジン酸イオン添加量の増加にともなって増加した.