抄録
アルカリ加熱処理チタン板を基材として、リン酸カルシウム溶液の過飽和度が塩基性タンパクのチトクロームCの共沈担持に与える影響について検討した。Ca/Pモル比、NaHCO3濃度及びcyt C濃度を一定とし、Ca濃度が1.50、2.25及び3.00 mMとしたリン酸カルシウム溶液は、過飽和度を上昇させると、基材上に共沈するリン酸カルシウム量及びチトクロームC量を増大させる傾向が認められた。しかし、リン酸カルシウム層中のチトクロームC密度に換算すると低下傾向となった。この結果は、リン酸カルシウム溶液の過飽和度によって塩基性タンパク密度が制御可能であることを示唆している。