抄録
チタンやチタン合金をNaOH水溶液中で反応させることにより、それらの金属の表面にチタン酸ナトリウム薄膜が形成される。この薄膜は優れた骨伝導性を有するために、人工股関節用材料への応用研究が活発になされている。一方、人工股関節置換手術においては、全手術のうち約1%の手術において感染が生じることが知られており、抗菌性人工関節用材料の開発が望まれている。本研究では、チタン板上に形成させた種々のナノ形状(不定形状、ナノシート状、ナノファイバー状、ナノチューブ状)のチタン酸ナトリウムからなる薄膜の抗菌性を調べたところ、ナノファイバー薄膜が特異的に高い抗菌性を有することがわかったので報告する。