日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2009年年会講演予稿集
セッションID: 3J05F
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(企業研究フロンティア)ゾル-ゲル法による新規厚膜作製方法の開発
*佐々木 輝幸
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抄録

 従来のゾルゲル法では、困難とされていた硬度と厚さを兼ね備えたミクロンオーダーの厚膜を、シリカ前駆体の反応状態を制御することにより、有機物が分解しない温度域での低温加熱処理にて作製することに成功した。本技術にて得られた厚膜の機械的強度は、有機物を含みながらも、テーバー摩耗試験後のヘイズ率1%、鉛筆硬度9H以上、4kg荷重のスチールウール摩耗試験後キズなしと、ガラス基板に匹敵するほどであった。  我々はすでに、この厚膜にITO微粒子を内包させた熱線遮蔽膜付き自動車用ガラスを世界で初めて製品化している。これまで、ゾルゲルコーティングにより機能性を付与した製品があるが、今回我々が新たに開発したような、実用的な耐久性を有した有機-無機複合コーティングを施した製品は、数少ない。本手法の開発により、硬度、厚みおよび実用的な耐久性に優れた厚膜の低温作製が可能となり、多くの耐熱性の低い機能性物質を内包することが膜中に導入できるようになるため、これまで作製不可能であった耐久性に優れた各種新機能性膜の創生が、ガラスだけでなく、樹脂など耐熱性の低い基材にも可能となる。

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©  日本セラミックス協会 2009
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