抄録
層状複水酸化物(LDH)は,陰イオン交換能や再生機能といった特徴を持ち,環境浄化剤や薬剤担体として注目されている.本研究では光異性化機能や紫外線吸収能を持つケイ皮酸化合物とLDHの複合化,および複合体への光照射の影響を調査した.様々な作製条件を検討したところ,LDHの水中での再生反応によりケイ皮酸化合物を約20mass%含むケイ皮酸化合物/ LDH複合体が得られた.複合体にUV照射すると,XRDの底面間隔の減少やFTIRスペクトルの変化が見られるなど,ケイ皮酸基の構造変化が示唆された.また,この複合体は紫外線吸収能をもつことなどからも,ケイ皮酸が持つ特徴の多くを複合体も有していることが明らかになった.