抄録
水洗式の排水管では、細菌が産生するウレアーゼによって、尿中の尿素がアンモニアに分解されpHが上昇し、尿及び洗浄水中のカルシウム分がいわゆる尿石として析出し、内壁に硬く固着するものと理解されている。これに対し、無水式の排水管内生成物は軟らかいゲル状遊離物であり、マグネシウム分がリン酸アンモニウムマグネシウム微結晶粒子として析出するが、多量のリン酸カルシウムの非晶質や有機物から成る混合物中に分散した状態で存在することがわかった。これは、洗浄水が無いため、排水管内が高濃度の尿成分かつ高pHであることに起因すると考えられる。一方、水洗式の固着物質は主にハイドロキシアパタイトあるいはリン酸カルシウムの非晶質から成り、無水式のゲル状遊離物と比べて密な状態をとっていることが示された。