抄録
既存のシンチレータ材料は殆どがCz法で育成されているが、Y2O3は融点が2410℃と高いためにCZ法による単結晶育成は困難である。最近になってRe坩堝を用いたマイクロ引下げ法にて単結晶育成法が確立してはいるが、難易度の高さは変わらない。一方、セラミックスはHIP、ホットプレス、真空焼結、スパークプラズマ焼結といった方法で、焼結体内部から気孔を排除することにより透明化を促進する方法が確立されつつある。セスキオキサイドY2O3は立方晶系の構造を持ち光学異方性がなくセラミックスにおいても高い透明度が期待できる。世界で初めてCe添加YAGの単結晶とセラミックスのシンチレーション特性の比較研究が報告されて以来、単結晶とセラミックスのシンチレーション特性の違いは興味深いテーマである。今回は、Y2O3において単結晶とセラミックスの光学特性及びシンチレーション特性を比較し議論する。