抄録
透光性Al2O3の透過率は、材料中の光散乱により大きく影響される。これまでに、空孔による光散乱や結晶粒ごとの屈折率異方性に起因した光散乱を低減することにより、70%以上の直線透過率を持つ透光性Al2O3が実現したものの、不透明さの完全な解消には至っていない。透光性Al2O3では、熱応力に起因した材料中における結晶粒オーダーでの応力により、局所的な屈折率分布が生じることが知られている。このため、透光性Al2O3の光透過率を更に向上させるためには、この局所的な屈折率分布による光散乱の問題を解決する必要がある。そこで、本研究では、透光性Al2O3の局所的な屈折率分布を変化させ、材料の光学特性を測定することにより、局所的な屈折率分布が透光性Al2O3の光学特性に及ぼす影響を調べた。