抄録
本研究の目的はO3型構造のマンガン酸リチウムのチタン・ニッケル置換体を合成して、スピネル型への相転移の抑制かつ高容量を実現することである。前駆体NaxMnyTizNi1-y-zO2 (0.5 < x < 1.0; 0.5 < y < 1.0; 0 < z < 0.25)の合成を500℃、12時間の焼成で行った。リチウムイオン交換は、エタノール中で80℃、6時間で実施した。粉末XRDの結果、全試料がO3型構造と一致した。充放電試験の結果、Ni = 0.15 apfuの時、放電容量が最も高くなった。また、ニッケルの添加によりO3型構造のLixMnyTi1-yO2よりも初期充電容量が向上し、かつ4 V領域のサイクル変動を抑制することに成功した。これは、スピネル型構造への相転移が抑制されたためと推測される。