抄録
我々はこれまでにイノシトールリン酸(IP6)のキレート能を利用し、水酸アパタイト(HAp)単一相で硬化するセメント試料片の開発に成功している。このHApにケイ素(Si)を置換固溶させるとHApの生体活性を向上させることができる。本研究の目的は、Siを含有させたHAp粉体を調製し、このSi-HAp粉体を出発物質として、より生体活性に優れたセメントを創製することである。Si-HApは湿式法により調製し、仕込みのSi含有量は0, 0.4, 0.8, 1.6および2.4 mass%とした。得られたSi-HApはいずれもHAp単一相であり、仕込み量に相当するSiを含有していた。ついで、これらのSi-HAp粉体を1000 ppmのIP6溶液で表面修飾したのち、粉剤と純水とを固液比(粉/液)が1/0.4 (w/w)となるように混練し、セメント試料片を作製し、それらの力学特性に及ぼすSi含有量の影響を検討した。