抄録
ハイドロシキアパタイト(HA)は化学式Ca10(PO4)6(OH)2で表されるアパタイト型化合物であり、生体親和性に優れることから骨代替材料として利用されている。またHAはプロトン伝導性を示すため、比較的高い温度で直流電界処理すると、プロトンの移動に起因して分極が誘起される。この状態を凍結させればHAをエレクトレット(半永久的な電荷をもつ絶縁体)化できるため、これを生体反応制御に利用しようとする試みがなされている。しかし、HAは非化学量論組成を取りやすい化合物であり、特に、OH-イオン部分には容易に欠陥が導入されてしまう。そこで本研究では、OH-部分に欠陥を導入したHAにおける分極形成および緩和特性を評価し、量論組成を有するHAと比較した。