抄録
生体骨組織は体の支持や造血をはじめ生命活動に影響する様々な機能を持ちながら、常に代謝サイクルを受けるダイナミックな組織である。従来のセラミックス人工骨は、骨組織の欠損部位に充填して周囲と骨癒合・一体化させることを目的としたが、近年は欠損部位の機能再生・同化が可能で、更に治療目的によって埋植部位に残留または吸収置換が可能な人工骨が求められている。要求事項を実現するための人工骨設計は、安全で骨癒合可能な素材、高気孔率化、気孔構造の制御、及び製造技術を開発することにあり、三重気孔構造を持つ超高気孔率セラミックス人工骨が開発された。さらに、開発された人工骨を速やかに提供するため薬事対応は重要であり、これらを視野に入れた開発を行なう必要がある。