抄録
アルミナ (α-Al2O3) は、高温でも化学的安定かつ硬度を保持できることから、超硬合金切削工具の硬質コーティング材料として広く用いられている。特に、(006) および (104) 面に配向成長した膜が、機械的強度や耐磨耗性に優れることが報告されているが、配向したアルミナ膜の合成やその微細構造に関する研究はほとんど行われていない。本研究では、レーザーCVD法を用いて各結晶面に配向したアルミナ膜を合成した。膜の配向成長および微細構造は、炉内圧力や合成温度などの成膜条件によって変化し、各結晶面の結晶構造の特徴をよく反映していた。