抄録
浮遊帯溶融法によりCrおよびNdをドープしたCr,Nd:YVO4単結晶を育成した。ドーパント濃度が高い場合には、小傾角粒界、インクルージョン、クラックなどの欠陥が結晶に見られた。吸収スペクトル測定の結果、Cr3+の吸収帯に関して、π偏光の吸収ピークがσ偏光に比べて長波長側に存在する強い偏光依存性があることがわかった。また、Cr3+による吸収とNd3+による吸収は互いに影響を及ぼさず、それぞれが独立に変化した。Cr3+による吸収帯はCr,Nd:YAGと同様に約400 nmにピークがあり、これは太陽放射のピーク波長である約500 nmと一致はしなかった。しかしながら、吸収断面積がCr,Nd:YAGと比べて約4.7倍と大きいため、太陽光励起レーザー材料として期待できる。