抄録
ガドリニウム固溶セリア(GDC)の緻密化挙動を陽電子消滅法と熱膨張計測法によって調べた。シュウ酸沈殿法によって調製したGDC粉末を一軸成形してペレットとし873~1273Kで所定時間焼結した。熱膨張計測の結果、ペレットは測定開始3時間で長さが大きく減少し、その後は緩やかに減少することが分かった。測定初期の収縮は主にネック部で粒子の再配列が起きているためと考えられる。陽電子消滅寿命の時間依存性は、熱膨張計測の結果とは異なることからそれぞれが検出している緻密化は異なることが分かった。熱膨張計測と陽電子消滅寿命の時間依存性データを導入することにより、ネックと結晶粒内の緻密化を分離して考察できることが明らかとなった。