抄録
12CaO⋅7Al2O3 (C12A7) は、その結晶格子の正電荷に帯電したケージ構造内に、電子や水素化物(H-)イオンなどを包接する。H-イオンの定量手段として固体高分解能NMR法などが考えられるが、より簡便な手法が望ましい。本研究では、任意の濃度の電子とH-イオンを含むC12A7において、両化学種を同時に定量する手法を確立することを目的とする。本手法では、先ず重塩酸溶液(DCl-D2O)中で試料を溶解して、H-イオンと電子により、それぞれHDとD2ガスとして生成させ、それらの総生成量を測定する。次いでHD, D2ガスの比率を四重極質量分析計(QMS)により決定することで、両化学種が定量される。