抄録
鉄化合物は、交流磁場中で発熱する性質を持つことから、体内深部のがんの温熱治療に対する有効な発熱体となり得る。鉄化合物を骨腫瘍の温熱治療に適用する場合、鉄化合物粒子に骨と結合する性質を付与する必要がある。本研究では、化合物中の鉄の価数に着目し、Fe-O系セラミックス粉末の組成と体液模倣環境における骨類似アパタイト(HAp)形成の関係を調べた。その結果、鉄、マグネタイト及びヘマタイトがアルミナに比べて、高いHAp形成能を持つことが分かった。鉄化合物粒子表面でのHAp形成は、粒子の表面酸化による水酸化物イオン濃度の局所的な上昇だけでなく、表面に形成された水酸基のリン酸イオン吸着によっても促進されると考えられる。