抄録
深部癌の低侵襲治療法として,患部に磁性材料を送り込み外部磁場により発熱させ癌組織のみを選択的に壊死させる温熱治療が注目を集めている.強磁性を示すマグネタイト(Fe3O4)微粒子は,本法の対象物質として有用であるが,毛細血管を閉塞させる材料サイズと高い発熱特性をともに達成するには,Fe3O4を微粒子のまま高分散させた微小球を作製すればよい.本研究では,Fe3O4微粒子をPMMA中に内包した微小球の作製を試み,その磁気特性を評価した.MMAモノマーに対するFe3O4の表面処理剤としてオクタデシルトリエトキシシランを使用した結果,Fe3O4微粒子がPMMA中に48wt%(17vol%)充填されることがわかった.試料の飽和磁化の値はFe3O4充填率と相関関係を示す傾向にあることが確かめられた.