抄録
溶解析出法によりサケ由来アパタイト/コラ-ゲン(HA-C)複合粉末を作製し、その微細構造と生体組織適合性・吸収性の関係を検討した。サケ骨焼成アパタイト(b-HAp)は、微量Na、Mg含有Ca欠損水酸アパタイト(HAp)であった。b-HApを硝酸溶解、pH9-10で析出させたアパタイト(dp-HAp)は、比表面積と直径3-30nm.の部分細孔容積が大きいミクロ・メゾ細孔を有するフロック状凝集粒子が観察された。b-HApの硝酸溶液とサケ皮のコラ-ゲン溶液を組成比 3.5で混合、pH7-8で熟成したHA-Cは、dp-HApと類似の微細構造を示し、ラット背部皮下組織内へ埋入2週後で、HAp粒子内へ体液が浸透し、化膿性炎症は無く巨細胞浸潤が認められ、生体吸収性は良好であった。