抄録
我々は、ビーズミルを用いた物理的粉砕により微粒子化したイットリウムガーネットY3Fe5O12がきわめて優れた発熱特性を示すことを報告している。一般的に強磁性体の発熱原因としてB-H曲線におけるヒステリシス損失と渦電流損失が考えられる。またビーズミル粉砕により超常磁性体となった場合、Néel緩和による発熱とBrownian緩和による発熱が考えられる。本研究ではY3Fe5O12についてビーズミル粉砕により作製した微粒子材料の発熱能の増大とその発熱機構について検討した。
B-Hアナライザによるヒステリシス損失と発熱特性の間に強い相関関係があり、ヒステリシス損失の外挿値、粉末及び固化試料の実測値がほぼ同じ直線上にのることがわかった。今回測定を行った1.77 kA/mでの発熱量は約0.4 W•g-1であり、発熱量は交流磁場の周波数f(kHz)と比例関係にあることを確認しており:
P = 3.5×10-4fH2
の関係があることが明らかになった。従って、この関係を用いて、磁場強度と周波数を変化させた場合の発熱能を見積もることが可能となった。