抄録
新たな層状構造を有する物質群であるLn2Fe2O3Se2(Ln=La-Sm)の合成に成功した。粉末X線回折の結果、これらの化合物の結晶構造は正方晶(空間群I4/mmm)をとることが分かった。Feには2つの酸化物イオンと4つのセレナイドイオンが配位しているが、Fe-Se距離はFe-O距離と比較して十分長く、Fe-Oによる擬正方格子を形成しているとみなすことができる。また、これらの擬正方格子はPr2O2層により隔てられている。さらに、また、希土類としてPrを含んだPr2Fe2O3Se2の磁化率、比熱、57Fe Mössbauerスペクトルについて調べたところ、PrイオンはCurie常磁性を示し、Feイオンは90 K以下で長距離磁気秩序を示すことを見出した。