抄録
ペロブスカイト構造を有するSrTiO3は極低温においても相転移しない量子常誘電体である。しかし、成膜中に磁場印加が可能なダイナミックオーロラPLD装置を用いて磁場印加成膜を行うと、ホモエピタキシャル成長SrTiO3薄膜においてP-Eヒステリシスループにおいて強誘電性が発現することを見出した。また、作製した薄膜はSr大過剰な組成であった(Sr:Ti = 1.4:1)。しかし、他の条件(組成Sr大過剰で0 G成膜、組成定比で0 G成膜、組成定比で2000 G成膜)では強誘電性を示さなかった。このことから、強誘電性を示す条件は、組成Sr大過剰、成膜時の磁場印加の2つの条件が同時に揃っていることが明らかとなった。さらに本研究では、磁場印加条件下で作製したSrTiO3薄膜において、誘電率温度依存性の観点から強誘電性の発現を検討した。