抄録
非鉛系層状構造強誘電体 (BLSFs)の代表物質であるチタン酸ビスマス (Bi4Ti3O12; BIT)は大きな構造異方性をもつため, その諸物性においても異方性が現れる. 特に, a軸方向の自発分極はc軸方向のそれと比べても約10倍以上大きく, a/b軸配向膜の作製が可能になれば強誘電性は格段に向上することが期待できる.しかし, その構造異方性のため, a/b軸配向膜の作製には困難を要する. そこで我々は, 高温スパッタ法によりIrO2(101)/Al2O3(012)基板上にBiサイトの一部をPrで置換したa/b軸配向BIT [(Bi4-xPrx)Ti3O12; BPT, x = 0.3-0.9]膜の作製を試みた. Pr置換量がx = 0.70のときPrは最大となり, その値は45 μC/cm2であった. この値は他の既報論文のc軸配向BPT膜よりも高いものであり, 本研究のBPT-0.70膜はFeRAM素子材料として有望である.