抄録
現在のエレクトロニクス産業において、実用化されている製膜法の多くが、高真空や基板の加熱を要するものである。近年は低融点材料に対する製膜の需要が増加しており、本研究では沿面放電を利用した製膜に着目している。コプラナー型電極から常温・大気圧下で発生する非熱平衡プラズマ放電は、基板を比較的低温に保ったまま局所的に高エネルギーを供給することが可能である。しかし、これまでは装置構成の問題から放電エネルギーが基板に伝わりにくく、有機金属前駆体の分解反応や結晶化が充分に進まなかった。本研究では印加電圧と周波数の最適化により放電の高エネルギー化を図るとともに、製膜時の雰囲気を従来の空気中以外に窒素、酸素中にすることによって酸化亜鉛薄膜の形成を試みた。